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これは以前勤めていた特別養護老人ホームでのお話しです。

 

その日私は夜勤のお仕事をしていました。夜中の巡回を終え、スタッフルームで書き物をしていました。時刻は午前2時、皆寝静まった時間です。シーンとしたフロア内に『ガタッ』という音が響き渡りました。

 

『何だろう?誰か起きたのかなあ?』と不思議がりながら音のする方に歩を進めました。すると、3日前に亡くなった利用者さんのお婆さんがフロアの片隅に立っているではないですか!

 

口から心臓が飛び出しそうになるくらいビックリしましたが、平静を装い『○○さんどうしました?』と尋ねてみました。すると、そのお婆さんはなにも言わず満面の笑みを浮かべているのです。よく見てみるととても満足そうな顔をされています。

 

ドキドキしながらもきっと、最後の瞬間を看取ってくれた職員に挨拶回りに来ているのだろう。と感じた私は『○○さん今までありがとうね。あちらでも元気で暮らしてくださいね。』と言うと、大きく頷きスーっと消えていきました。

 

あの夜の体験は何年経った今でも忘れられません。少し怖かったけど、心が暖まる体験でした。